Amazon Prime VideoのInside Jokesがおもしろい

お笑いが好きです。気づけばこのブログでは、コメディアンがやっていること(本やポッドキャストなど)についての投稿が多い。今回もまさしくその路線です。Amazon Prime VideoのInside Jokesというドキュメンタリーがおもしろいので、今日はそのことについて書いてみます。

 

最初にどんなドキュメンタリーかというと、カナダのモントリオールで開かれるJust For Laughsというお笑いイベントの舞台に立ちたい、売れていないコメディアンを追うシリーズです。登場するのは、自らの人生に真っ直ぐに生きている7人のコメディアンたち。化学の学位を持っていてその道に就職できたけどしなかった人、かつてはワシントンD.C.で政治の仕事をしていた人、子どもがいて年間50週は外で巡業活動をしている人、昼間は家具店で働いて夜はコメディアンとして活動する人などなど…。アメリカのロサンゼルスと、ニューヨークで活動する7人たちのコメディアンを追っていきます。

 

シリーズは全6回で、追っている7人全員が本選に進めるわけではありません。選ばれる人、選ばれない人、それぞれの活動を追っていきます。ドキュメンタリーでは、自分たちでジョークを披露する場所を作ったり、そのためにチラシを配ってまわったりしている姿も映し出されています。その姿を見ると「ああ、この人たちは本当に無名なんだ」ということがわかってきます。察するに生活はあまり楽そうではない。でも彼らは生活が楽かどうかじゃなくて、自分が信じていることをやることで生きています。

 

なんでこのシリーズにそんなに惹かれるているのだろうと考えると、思い当たるのは彼らの正直さでした。シリーズでは、コメディアンとして活動している彼らを追うと同時に、私生活も追っていきます。ガンガンにすべっているところも撮られまくっているし、住んでいる家での撮影もあるし、実家の家族も登場します。家族のサポートも描かれているけれど、ある人のお父さんに会おうとするも連絡が来ず泣いてしまう場面や、また別の人の両親にゲイとしての自分をうまく受け入れてもらえず苦しんでいるところや、会って受け入れてもらおうと対話をする様子も撮られています。オーディションに受かれば、カナダについたあとの浮かれている感じの様子も映し出され、でも同時に、今までの何倍ものサイズの客席にひるみ、不安をいっぱい感じている様子や、本番前の張り詰めた空気感も伝わってきます。

 

とにかく、喜び、悲しみ、不安、コメディにかける覚悟や、自分の感情がまとまらずごにゃごにゃっとした感じなど、人らしい感情がまるっと映像から伝わってくるのです。個性豊かで、みんなそれぞれの方向からコメディにはまっすぐで、正直です。人らしい感じと、まっすぐに目的めがけて進んでいく感じが見てて、心地よいです。

 

多くの感情が感じる環境は違っても理解ができることで、共感できると思います。国籍は違っても、感じることは一緒なんだなあということをしみじみと感じるドキュメンタリーじゃないかなあと思います。

 

私はこの人たちのように、まっすぐに生きていない、意志を持てていない、捨て身で挑めていない…。彼らの覚悟、意志が伝わってくる言葉を聞くたびに、こんな感じのことを思っていた気がします。一番最初に見てからしばらく経っていますが、節目節目に思い出してしまうドキュメンタリーです。

 

おもしろいのでぜひ見てみてほしいです!

西野亮廣著/『魔法のコンパス』を読んで

キングコング西野さんの「魔法のコンパス」を先日読み終わりました。5月に角川から出版された文庫版ではなく、2016年に主婦の友社から販売された単行本の本です。今日は感想を書いてみます。

 

まずどんな本かというと、ちょっと今回はAmazonの紹介文を引用させてもらいます。

 

漫才師、絵本作家、イベンター、校長、村長、ついには上場企業の顧問にも就任! 肩書きを自由に飛び越える芸人界の異端児が書く“レールからハミ出す人のためのビジネス書”。「自分だけの仕事の作り方・広げ方」、「本当のお金の話」「常識の覆し方」「エンタメの仕掛け方」まで必読!

 

本を読んで一番印象に残っているのは、西野さんの物事への「向き合い方」です。それは西野さんの行動力と、ものごとを前向きに転換させていくところ、と言い換えられると思います。

 

そのなかでも一番印象に残っているのは、モリで突き刺していく話でした。西野さんは2013年の1月「来月、ニューヨークで個展をしたい」と言い出したそうです。アテやノウハウもない。英和辞典片手に、ニューヨークのギャラリーに片っ端から80社ほど、連絡をとったそうです(まずここまでの、この行動力すごい!)。直前にも関わらずギャラリーは見つかりました。でも、ギャラリー費用、渡航費、宿泊費、設営・運搬費などのお金の問題が残っています。西野さんは当時日本にはいってきたクラウドファンディングを使うことを思いつき、支援の方法としてSNSを選びます。「キングコング西野」でエゴサーチをして、自身についてリツイートしている人をリストアップして、700~800人に「はじめまして、キングコングの西野です。実はこの度、クラウドファンディングという…」という風に、直接メールを送っていったそうです。これは「拡散希望」と書かれたリツイート数が昔にくらべて少なくなっているのを見て、みんな大多数に向けて投げられた情報には反応しなくなり、SNSは今までの拡散装置としての役割は果たさなくなっていることに気づいて行ったということ。実際これが当たってお金は集まり、個展をやるときの集客にも現地にいる人に向けて、同じように「はじめまして…」と連絡を取ったそうです。

 

この話は、【SNSは拡散ツールではなく、個人をつなげるツールであり、大多数に網を張るより、1対1を繰り返すほうがよい】という趣旨の内容を伝えるために紹介された話です。だけど私は、単純に芸能人がモリで突き刺す手法を使うということにびっくりし、アメリカのギャラリーに自分でダイレクトメールを送ってしまえる事実に驚きました。私は相手がどう考えるかとか考えて、結局なんにもしないだろうなあ、そしてそのまま終わるだろうなあと思ってしまったので…。

 

あと、もう一つすげえなあと思ったのは、西野さんのネガティブ要素のある状況を転換していける力、そして言ったことを実行する力です。ハロウィン翌日のゴミ拾いイベントや、負けエンブレム展の話が印象に残っています。いずれもネットなどで取り上げられたから知っている人も多いかもしれないですね。ゴミ拾いイベントは、渋谷のハロウィン翌日のゴミが大量なことに対して、「ゴミを出すな」と押し戻すのではなく、ゴミが出ることを逆手にとってゴミ拾いイベントを行い、出たゴミでアート作品を作ろうというもの。そして負けエンブレム展は、オリンピックの新しいエンブレムを募集する際、最終候補に落選した方を対象に、西野さんのブログで大賞を決める『負けエンブレム展』を開催するというもの。落選した作品にいいものがあったのではないか、デザインで生計を立てている方にとっては相当の意気込みで挑戦したもので、それがただ埋もれていくのはもったいないということで始まったものです。

 

多くの人が目の前の出来事をそのまま受け入れるのに対して、西野さんは人を巻き込んで、自分にできる行動を起こし目の前の現実を変えていきます。この上の話の流れのなかの文章ではないのだけど、本にはこんな文章があって、この文章が西野さんの考えの根幹を伝えているなと思いました。

 

そこに自分が絡んでいるかどうかなんて、もはやどうでもよくて、とにもかくにも世の中が今よりも楽しいもので溢れたら、僕にとっては、それが一番イイ。

 

いつだって僕は自分のためにやっているんだけれど、そのことが巡り巡って誰かの救いになっていたりすることがある。

 

行動力の話にしても、物事の見方を転換させていく話にしても、いずれも紹介したのは内容の一部にすぎず、本にはほかにもいろんなアプローチで西野さんが考えたこと、実際に行ったことが紹介されています。西野さんの場合、考えていること、実際に行ったこと、ネットの情報がセットでまとめられていることが多く、順を追って流れを整理しやすいです。それから言ったことを実現していくから、言葉がしっかりと響いてきます。

 

話が少しずれるのですが、私にはSNSやブログでフォローしたりしている人のなかで、その人の動向が気になるけれど、その人のことをまっすぐにフォローできない人が何人かいます。斜に構えて冷めた目で見ているのに、気になるから見ちゃう…という。みんな、努力して自分のやりたいことにチャレンジしている人たちで、やってることはすごいんだけど、まっすぐに肯定できないのです。西野さんの本を読んだとき、その人たちのブログを読んだときと感覚が似ていることに気づきました。なぜ肯定できないのだろうと考えてみると、そこにあこがれやうらやましさの気持ちがあることに気づきます。

 

本を読んで感じたことを一言でまとめると、「正しさ」だと思います。本を読んでいると、俯瞰で周りをながめ、自分の持っているものを分析し、長けている部分を活かすためにコツコツと努力している様子が伝わってきます。それから、ハロウィンあとの掃除や負けエンブレム展のように、マイナスの出来事をプラスに変えたり、世の中を今より楽しいものにしようとしている姿も読み取れます。そして実行に移すためには、ガンガンに行動していくストーリーも語られています。それらの話を「正しい」と言っていいのかはわからないですが、今よりもよりよい方向を目指し、有言実行で解決策を自分で考えながら向かっていく姿は、まっすぐで、正しい考え方だなあと感じました。たぶんまっすぐに肯定できない気持ちは、自分のあまりみたくないダメなところを、西野さんの文章を読んでいると思い出してしまうからなのかな、と感じました。

 

私はテレ東のゴットタンの企画は大好きですが、西野さんのブログをちらっと読んで西野さんをジャッジしていた節がありました。でも今回、本を読んでみてそんな風に考えてるんだ~と思うことがいろいろありました。本人の思いの根幹をたどらないと、だめなんだなと思い知らされた1冊でした。

 

就活をしている学生や就活前の学生の方で、今の卒業して就活して…という流れに疑問を抱いている人、何かを変えたいけど具体的に何を変えればいいのかわからない、という人には参考になる情報が多い気がする本でした。

習慣化、何かを継続するときのちょっとしたコツ

習慣化や何かを継続することが苦手でした。でも、2年ほど前から英語の本の多読を毎日始めるようになって、少しずつ何かを継続することに対して苦手意識は消えていきました。

自分が習慣化できた背景を分析すると、毎日続けることにこだわり続けられたことと、習慣を負担、ストレス、抵抗からうまく切り離せたことかカギになっている気がしました。

習慣化をいろいろ試してきたけど続かなかったという人がいたら、こんなアプローチもあると思って読んでいただけたら幸いです。

 

習慣化をするときに一番大切だと思うこと:日々のハードルを低くする

「これなら毎日できないわけないし」と、自分で鼻で笑えるくらいのボーダーラインを設定すると続きやすいと思います。疲れている日、時間のない日もあるけれど、それでもできる、と思えるものにします。ベースにある考えは、自分が継続したいと思っていることと、自分が必ずできると思えることを組み合わせるということ。はじめからバッファを作って「もうやだ、もう無理、もうやめる」の感情を引き起こしづらくしてしまうのがポイントです。

私の場合、日記と読書を毎日続けているのですが、日記は最低でも1行書く、本も最低でも1文読むがボーダーラインです。でも頻繁に使うカードではなく、「今日はもう無理!」という日にちょこっと使うカードです。実際の書いたり読んだりする量は、自分のその日のエネルギーに任せ、書ける日は書き、無理な日は最低ラインを超えればOKとします。

最低ラインは、少しずつ調整していくのもありだと思います。だいぶ恥ずかしいのですが、私の場合は、はじめは単語数数十文字の英語の本3冊だったのが、レベルが上がるにつれ本1冊になり、最終的には1行でよしにしよう…とレベルダウンしていきました…。目標は続けることなので、いいのです…。

 

生活の中に組み込んだり、合図を決める

続けるための環境づくりをするのも効果的だと思います。読書や日記を例にとるなら、通勤中に英語の本を読む、日記をスマホのメモに書いてしまうという感じです。日々の生活のスキマ時間に、抵抗を感じない範囲で習慣、継続したいものを組み込み、「そんなにがんばったつもりもないのに、いつの間にかやってしまっていた…」状況を作ってしまいます。習慣化、継続したいことを「がんばってすること、大変なもの」にするのではなく、ひょいっと簡単に超えられるものにしてしまうのがポイントだと思います。

それから、習慣に入る流れを作ったり、セット化してしまうのも効果的です。例えば、朝起きたら、トイレに行って体重計にのる、というのが一連の流れになっている人もいると思います。あんな感じでAしたらBするという流れを、身体に定着させていくのです。上の通勤→読書、日記というのもセット化の一つですよね。何回も同じことを繰り返していると、身体が自然に動くようになってくるのでその流れを利用して形にしていきます。

 

思い入れの強いものから始めてみる

かつて、英語の多読と瞑想を同じ時期にしていたのですが、多読は2年以上、今も続けているのに対して、瞑想は1年ほど続けてある日パタリとやめてしまいました。違いを考えたときに思い当たったのは、思い入れの強さでした。多読に対しては英語で文をちゃんと書きたい、原書を読みたいという、執着ともいえる思いがあったのに対し、瞑想は「心の安寧ほしいよね」くらいのぼんやりとした思いしかなかったです。それ以外の続いたもの、続かないものも冷静に考えてみると、動機がぼんやりとし、具体的な未来のビジョンが描けないものはあるときにやめていて、続いているものはその逆でした。

何かを習慣にしようとするとき、生活スタイルのなかにうまくのせてしまえば案外なじむものです。でも、この過去の経験を踏まえると、ギリギリの淵に立ったとき最終的に踏ん張りきれるかどうかは、思い入れの強さや明確な動機によるという風にも感じています。

そんな経験から、何かを習慣化しようと思っているとき、先に習慣にしたい理由、何を得たいのか、自分がどうなりたいかなどのことを、事前にじっくりと考えてみることが必要だと感じます。そして、できるだけ「これだけはずっと形にしたかったんだよな」と思うもの、自分がこだわれそうなものから始めてみると、続きやすい気がします。「もういいじゃん」と投げやりになりそうなとき、「なんで始めたんだっけ?」と自分に問いかけることができ、ここでちゃんと答えを返せるというのはほんとうに力強いです。

 

最後に

人による気がするので、最後にひっそりと書くのですが「毎日続けることにこだわること」が私には結構大切でした。こだわって毎日続けることで、「続かない自分」が少しずつ「続いている自分」になり、最終的には「案外続けられるじゃん」と思えるようになって、自分のなかの自信につながっていきました。

ただ同時に、続かなかったこともだいぶあります。昔はそれらを失敗したとネガティブにとらえていましたが、ひたすらやめて始めるを繰り返していたら、続かなかったことはただの事実、経過と、とらえ方が変わっていきました。そのため、何か続けたかったけれど続かなかったことがある場合は、ぜひ再びチャレンジしてほしいです。続かなかった理由や自分の動機を見直してみるのも効果的だし、とにかく、ただもう一度何事もなかったかのように始めてみるのも一つの方法です。続かなかったことは、自分でそのことを失敗と認識した時点ではじめて失敗になるのだと思います。

最後に、参考になった本、本の分野を何冊か。

『小さな習慣』スティーブン・ガイズ著
本の主旨は「目標はばかばかしいくらい小さくする」ということで、著者は毎日1回腕立てをしたり、50ワードの文章を書くことなどの習慣を実践してきたそうです。同じような内容も多く、くどく感じるところもあります。でも、そこまで簡単なところからコミットしてくやり方もあるんだと、学ぶところも多かった1冊でした。

脳科学は、習慣化のアプローチを考えるときにとても便利だなと感じています。昔のうまくいかなかったことも、そうだったのか~と合点がいき、どうすればいいかのヒントが見えくることが多いです。茂木健一郎さんと築山節さんの本を読んだのですが、参考になりました。

読んでくださって、ありがとうございます。