「こうやって、考える」を読んで

先日、図書館で背表紙借りした本がありました。真っ白の背表紙に本のタイトルだけシンプルに「こうやって、考える」と書いてあります。本を手に取り表紙を見ると、これもまたいい感じです。

すぐ借りてしまいました。著者は知りませんでした。「外山滋比古・・・。日本の人なのかな? なんて読むんだろう・・・」からのスタートでした。でも、この本が面白かった。今日は読んでみた感想を書いてみます。

後で調べてみると、東大生・京大生に支持されている「思考の整理学」という本で有名な方だということを知りました。評論家、エッセイストとして、また過去には大学で教鞭を執られていて、現在94歳という。すごい!

本は、著者の21冊の著作のなかから、発想力や思考力を磨くヒントになる言葉を抜粋してまとめた箴言集です。なので1ページに「メモの習慣を身につける」という見出しがあり、その横に短い引用が書いてあるシンプルなつくりです。発想力の鍛え方、考える過程についてのヒントから、日々の生活や読書、おしゃべりのなかにある発想力、思考力を磨くヒントなどまで、合計で150個のヒントがまとめられています。

少しずつしみこんでいく文章

自分の日常生活において、はじめはなれないことでも、何度も繰り返すうちに自分なりに「こうやったらうまくいくんではないか」と小さな知恵を見いだすことがあります。この本に書いてあることは、著者バージョンの「知恵」がつまったものだと感じました。

私にとって、それらの文章は自分のなかに少しずつしみこんでいくようなもののように感じられました。その理由としては、自分でも気づいたことが書いてあったり、直感的に「そうかもしれない」「ほんとうだ」と思うことがたくさん書いてあるからだと思います。自分が頭のなかでモヤモヤッと破片で感じていたこと、困ったなあと思っていたことの答えやヒントのようなものが、きれいな整えられた文章で並んでいる、そんなイメージの言葉が多いです。

たとえば、書くことについて「書く衝動を逃さない」と始め、そのあとはこんな風に続いています。「本を読みたいという気持ちはときどき起こるが、ものを書きたいという衝動はめったにあるものではない。書くのは相当”不自然”なことらしい」。「確かにそれはそうかもしれない」と、頭のメモ帳にインプットしました。本を何冊も書いている人でもこんな風に思うのかと、少し励まされもしながら、言葉を吸収しました。

うなずける言葉が多いと、著者の言っていることを追うようにしてついていき、わからなくても理解しようとします。すると、今まで自分にはまったくなじみのない発想でも、「そうなのかな、試してみよう」と自分のなかに少しずつ著者の発想がしみこんでくる感覚がありました。

たとえば、今こうやって本の感想を書くようになりましたが、これは最終的にはこの本がきっかけでした。著者は本の感想を書くことをすすめ、こう書いています。「本などもただ読みっ放しにしないで、あと、かならず感想を書く習慣をつけるようにしたい。これがどんなに我々の精神を大きく豊かにしてくれるか、はかり知れない」。理由はこまかく語られていないので、何がどうよいのかはわかりません。だけど、この人が言っているなら書こうと思い腰をあげて書き始めました。

言葉の矢は前から後ろから、上から下から斜めからと、様々な方向から飛んでくるような感覚があります。だからあるときには、「あ、この悪い例はまさに自分だ」と、矢がグサッと刺さることもあります。そして多くは語られないということもあり、正直、今読んでもいまいち内容を理解できないところがあるのも事実です。

言葉だけだとわかりにくいので、「前から後ろから・・・」の矢を、全7章ある1章ずつの見出しから、「わからない・・・」「面白い発想だなと」思ったところを抜粋してみます。

・編集視点で考える

・”ことわざ”をつくる

・知識は「死んだもの」と考える

・人生を二毛作化する

・(本に)影響を受けすぎない

・あえてゆっくり話す

・散歩をスポーツに

見出しから意味が想像できるもの、かつ自分がまだ納得できていないことを多く選んだので、少し特異な見出しが多いと思います。でも、前から後ろからのニュアンスが伝わるのではないかと思います。

何か困ったとき、パラパラっとこの本を思い出してめくりたい、そんな風に思いました。悩んだときは、一点に視点が集中しがちです。でもそんなときに、前から後ろから斜めから飛び込んでくる矢を受けて、「ああ、そんな発想あったんだ」と思い返したいと感じました。きっと悩むときで、響く言葉が違うと思います。ひょっとしたら、今わからないところはその頃には普通にわかるようになっているかもしれない。それもやはりこの本の魅力だと思います。少しずつ自分に本の内容がしみこんでくるのです。

違う視点からのアイデアがほしい人、自己啓発の本を読みたいけどいわゆる自己啓発の本とは違うアプローチをという人にとって、この本はパラパラめくると面白い本だと感じました。普通に前から読むというよりは、ちょっと時間が空いたときにパラッパラッとめくったり、気になった項目を飛ばし読みしていくとより本の持ち味が引き立つような気がします。よかったら読んでみてください。

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