歌と映画、両方楽しかった「はじまりのうた」という映画

先日、アマゾンのプライム・ビデオで「はじまりのうた」という映画を見ました。ドラマに分類される映画です。

しばらくの間、ドラマに分類されるアメリカ映画を何本も見ていました。たまたまかもしれないですが、私の見たそれらのドラマ映画のジャケット画像は、主人公たちが隣合わせに座るなり、立つなり、見つめ合うなりしてました。この映画もそうだし…。

同じく、たまたまかもしれないですが、それらの映画は物語の細部は違っても、根本としての雰囲気は似てた気がします。しばらくそういう映画ばかり見続けた頃には、「お腹いっぱい…」と思うようになりました…。

今回の映画を見たのは、「お腹いっぱい」期からしばらく時間が経ったとき。でも、「あの雰囲気をまた伝えてくるんだろうな」と思いながら見始めました(だったら見なきゃいいんだけど、ついつい見ちゃう…)。

でも、違った。はじめは「いい映画だったなあ」くらいでした。たいてい、いつもはその感情止まりなのですが、見終わって数時間経っても、映画のことを考えていました。せっかくなので、映画の紹介をかねつつ、よかったなと感じた点を書いてみます。

 

 

映画のあらすじは、シネマトゥデイから引用させてもらいます。

ミュージシャンの恋人デイヴ(アダム・レヴィーン)と共作した曲が映画の主題歌に採用されたのを機に、彼とニューヨークで暮らすことにしたグレタ(キーラ・ナイトレイ)。瞬く間にデイヴはスターとなり、二人の関係の歯車に狂いが生じ始め、さらにデイヴの浮気が発覚。部屋を飛び出したグレタは旧友の売れないミュージシャンの家に居候し、彼の勧めでこぢんまりとしたバーで歌うことに。歌い終わると、音楽プロデューサーを名乗るダン(マーク・ラファロ)にアルバムを作ろうと持ち掛けられるが……。

 

この映画を、他の映画と切り分けるものは「歌」と「音楽」にあると思います。

ただ、「音楽」というくくりだけなら、他の映画でもあるかもれない。そこで、この映画の他とはちょっと違う点に触れつつ、映画のいいなと感じたところを書いていきます。

 

はじめに、あらすじの続きになるのですが、物語では最終的に、ダンとグレタは演奏仲間を集めながら、1枚のアルバムを作っていくことになります。映画では、アルバムを作る過程を追っていきます。

そして、この作中の歌がいい。好みの問題があるので、人によってはあんまりかもしれないですが、私はキーラ・ナイトレイの歌声と曲のテイストに完全にはまってしまいました。

昔のフォークソングを思い出させつつ、アレンジした感じがいい。この曲風が好きなら、映画は見ていて面白いと思います。

更に、この映画の面白いところは、アルバムの収録場所。

収録はレコーディングスタジオでやるのではなく、夏のニューヨークの街中各所。地下鉄のプラットフォームで、エンパイア・ステート・ビルを見上げながら、セントラルパークの湖の上を漕ぐボートで…。とにかくいろんな場所で、レコーディングをしていきます。自転車のチリンチリンも、街の喧騒も、すべてアルバムの味になっていくのです。いい感じの歌声と面白い発想のもと、何かが作られていくのを見るのはとても楽しかったです。

それから、主人公をはじめ、一緒に演奏する仲間たち、みんなが音楽を楽しんでいる姿もいい。演奏している姿はとても楽しそうで、見てるだけで楽しくなってきます。

 

これらの要素に加え、私がこの映画に惹かれた極めつけの理由は、主人公のキャラにあった気がします。主人公のグレタは、少し堅い感じがするところがあります。作中で、登場人物の一人は彼女のことを「無愛想」と表現するほどでした。そんなグレタに対して、作中初めのダンはノリがちょっと軽く、グレタとなんだかんだでいいコンビです。

グレタとダンは、本当に音楽に情熱を傾けています。音楽を通じて、2人の関係性が少しずつ変わっていく姿。音楽を作り上げることを通じて、2人の人生が少しずつ変わっていく姿。それは、この映画の一つの見どころだと思います。

印象に残っているのは、ダンが少しずつ変わっていく姿です。ダンははじめ、ほんとにボロボロでした。家族との関係性が、ある事件をきっかけに崩壊し、妻と娘とは別居状態。物語のはじめでは、自分で立ち上げた会社をクビになり、「酔って地下鉄で自殺を考えて君の歌を聞いた」とグレタに打ち明けるほどでした。

でも、音楽をみんなで作り上げていくことによって、彼は少しずつ再生していきます。先ほど、「作中初めのダンはノリがちょっと軽く」と、過去形で書きました。過去形で書いたのは、物語が進むにしたがい、彼が軽い人ではないと少しずつわかってくるからでした。もともと彼のなかにあるけれど、うまく外に放たれていない家族への愛情、音楽への情熱、そういうものが徐々に見えてきます。物語を通じて彼に起こる変化は、わざとらしくなく、自然で、あたたかい。彼の顔芸? というのか、表情の演技は、とても印象に残っています。

映画のトレーラーは最後、こんな語りかけで終わっています。

へこんだ心はいつかふくらむ。新しい一歩を踏み出したいあなたにおくる物語

はじめの文は、的確だなと思いました。へこんでいるけれど、音楽を通じてふくらみはじめる、グレタとダンの心が映画には映し出されています。その姿は、なんていうか励まされます。私はダンの変わり方を見て、「私もこんな風に変わっていきたい」と感じました。私の場合は、ダンの姿に励まされました。でも、人によってはグレタの恋愛だったり、人生にだったり、響くところは人それぞれ違う気がします。

 

正直、作中の音楽が好みではない人には、いまいちの映画かもしれません。でも逆に、作中の音楽が好きな人は、見ていて楽しい映画だと思います。プライム会員の人は、よかったら見てみてください。

仮にもし前者だとしても、マルーン5のアダム・リヴィーンが歌う挿入歌はとてもよかったです。映画に関係なく、よかったら聴いてみてください!

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